満願寺窯より
夏、到来。
田舎の夏はひぐらしの鳴き声と草刈機の音で朝が始まります。阿蘇も真夏の片鱗を見せ始めました。夏の蝉と入道雲はジブリの刷り込みでしょうか、どこか懐かしさを感じさせます。
満願寺窯のある小国町は標高500mほどの山間の町で、黒川温泉をはじめ夏は避暑地として賑わう観光地です。そんな小国町も近年の温暖化の影響なのか気温、湿度共に上昇しております。
僕は今は制作の時期なのですが、暑さと骨折治療のためなかなか作業も捗らない毎日を送っています。
そんなうだるような暑さの中では作るもの趣向も変わってきます。自分自身も夏は器を選ぶときに飲み口の厚い重たい陶器よりも、口の薄い軽く爽やかな色味の器を選ぶ傾向にあります。作るのも同じでそのようになります。
満願寺窯の特徴である様々な自然灰の釉薬の好きなところは多様な色味、表情が出せるところにあります。つるんと軽いみかんの青であったり、もったりと柔らかなゴマの白であったりと。形に合わせて施す釉薬を選べ、それがマッチした時は窯出し時の喜びも増します。再現性は低いので、窯に入れてからは火に託し、お願いに近い気持ちで祈ります。そのような過程を経て出て来た陶器たちには自然と愛情も深くなります。売りたくなくなることもあったりと。笑
土と火と灰と。自然の中で、自然を用いて制作できることに喜びを感じます。感謝です。最近はますますこの仕事が好きになっています。おこがましいですが、手に取っていただく方にもっとそういった部分を感じてもらえるようなモノづくりを進めて行けたらと思います。
8月後半からは10日間ほど広島にお邪魔します。詳細は決まり次第こちらでも告知させていただきます。